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キャリア(採用・適正検査)

2026/04/08

採用選考において「学歴」はどれくらい機能しているのか?

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採用選考において「学歴」はどれくらい機能しているのか?

目次

1. グラフの頂上に注目してみる
2. グラフの裾野に注目してみる
3. 能力ほどの成果を出せない生徒たち
4. 能力よりも高い成果を出す生徒たち

みなさんの会社では採用選抜の場面で、「学歴」をどのように扱っているでしょうか。ひと昔前と比べると「学歴」に関する評価の比重は小さくなっている会社が多いようですが、それでも新卒一括採用(ポテンシャル採用)などの場面では、まだまだ無視できない情報として選抜に影響しているのではないでしょうか。このコラムでは、以前、内田クレペリン検査の結果が高校の入試偏差値と強く関連しているという記事を紹介しました。日本の学歴の評価が入試の難しさに依存していることを考えれば、内田クレペリン検査の結果はある程度「学歴」を予想すると言ってもよいかもしれません。今回は、内田クレペリン検査の結果を参照しながら、「学歴」が個人の能力を予測するうえで、どの程度有効な情報になるのかを考えてみたいと思います。

1.グラフの頂上に注目してみる

今回の分析で使うデータは、上で紹介した過去記事(参照:コラム「内田クレペリン検査で知的能力は予測できるか?」)と同じものです。66校11,087人の高校一年生の、①高校の入試偏差値と、②内田クレペリン検査の作業量を使用します。「作業量」というのは、足し算の出来高のことで、計算のスピードが反映されます。【図1】に注目してください。この図は、前回の記事で取り上げた66校を入試偏差値のランクでグループ分けしたうえで、各グループに所属する生徒の作業量の分布がどうなっているかを示したグラフ(ヒストグラム)です。たとえば、一番うえの紺色のヒストグラムは66校のなかで入試偏差値が60以上の学校に所属する478人(各グラフのNは人数を表します)の作業量の分布を表しています。横軸は一分当たりの平均作業量を表していて、「<15」というのは1分あたりの足し算の出来高が15個未満(かなり少ない!)で、となりの「<20」は15個以上20個未満の作業量帯というふうに読みます。つまり、左にいくほど作業量が少なく(計算スピードがゆっくり)、右にいくほど作業量が多い(スピードが速い)わけです。縦軸は、その作業量帯に何%の生徒がいたかを示しています。

ヒストグラムの読み方を押さえたうえで、まずは各偏差値ランクのヒストグラムの一番高いところ(山の頂上)に注目してみてください。偏差値40未満の学校では「<35」の作業量帯がもっとも高くなっています。そのひとつ上の偏差値40以上45未満の学校では、もっとも多いところが「<40」に移動しています。このようにヒストグラムのもっとも高いところに注目すると、点線の矢印で示したように、偏差値が上がっていくと、グラフの山の頂上が右に移動していくことがわかります。最初に触れたとおり、この記事では(やや乱暴ながら)学歴≒入試の難しさと定義しましたので、そのことを踏まえて【図1】を読むと、学歴が高い(入試偏差値が高い学校)ほど、作業量の分布が高い方向に移動していくことがわかります。グラフの頂上に注目して【図1】を眺めてみると、「学歴」にも一定の意味があることがわかります(その意味では、頂上に注目してグラフを眺めることは、高校の入試偏差値と学校全体の平均作業量が強く相関するという過去記事とほとんど同じです)。

2.グラフの裾野に注目してみる

ここまで読んで、検査で測れる能力が学歴から予測できるのであれば、手間暇かけて検査を行う必要はないんじゃないか(履歴書を見れば十分じゃないか)?と思った人がいるかもしれません。それは鋭い指摘です。ただ、【図1】のヒストグラムをよく見ると、裾野が左右に大きく広がっており、同じ偏差値ランクの学校にも多様な作業量の生徒がいることもうかがわせます。そこで、次は【図2】に注目してみましょう。

【図1】と同じグラフですが、今度は6つのヒストグラムを縦断するように新たに二本の補助線(点線)を引いてみました。右側の紺色の点線は、もっとも高い偏差値ランク(60以上)の中央値で、作業量がおおよそ55以上の位置になります。各ヒストグラムの右側に紺色の字で表記している「%」の数値は、その偏差値ランクで紺色の点線よりも右側に入る(作業量が高い)生徒の割合を示しています。偏差値ランク60以上の学校では約半分の50.2%の生徒が該当するということです。左側の薄い青色の点線は、もっとも低い偏差値ランク(40未満)の中央値付近で、作業量がおおよそ35未満です。その左側に薄い青色の字で表記している「%」は、その偏差値ランクで薄い青色の点線よりも左側に入る(作業量が低い)生徒の割合を示しています。こんなふうに二本の補助線を引くことで、各ヒストグラムの裾野に注目しやすくなりました。

3. 能力ほどの成果を出せない生徒たち

ここからは、【図2】に引いた二本の補助線の外側にいる生徒たちについて考えてみたいと思います。まずは紺色の点線の右側のゾーンにいる生徒たちに注目してみましょう。この生徒たちは、入試偏差値60以上の学校においても平均以上の作業量がある生徒たちです。もし作業量が入試の結果や学力を直接的に反映するのであれば、このゾーンに入る生徒は、高い偏差値の学校に合格するだけのポテンシャル(潜在的な能力)を持っているということになります。しかし実際の分布では、偏差値が50以下の学校にも10~20%の割合で、このゾーンの生徒がいることがわかります。この生徒たちは、入試という場面においては、本来のポテンシャルを十分に発揮できなかったと言えるかもしれません。
こんなふうに能力ほどの成果が出せない生徒のことを、「アンダーアチーバー(Underachiever)」と呼びます。アンダーアチーバーが潜在力を成果に結びつけられない理由はさまざまです。自分の時間や能力を、勉強よりもスポーツや趣味に注いでいるということもあるでしょうし、「自分なんてどうせダメだ」といった自己否定や諦めの気持ちが強すぎる、あるいは家庭環境などで勉強の時間が十分に確保できないなどということもあるかもしれません。一見すると「怠け者」のように見えるアンダーアチーバーですが、こういった原因を特定し、そこにうまく介入することができれば、社会人になってからの「伸びしろ」が大きい生徒とも言えるでしょう。

4.能力よりも高い成果を出す生徒たち

次に【図2】の薄い青色の点線の左側のゾーンにいる生徒について考えてみましょう。この生徒たちは、入試偏差値40未満の学校においても平均以下の作業量ということになります。それにもかかわらず、偏差値50以上の学校にも4~12%程度の割合でいることがわかります。アンダーアチーバーの生徒とは逆に、この生徒たちは、入試においてポテンシャル以上の力を発揮したと言えます。このように本来の能力以上の成果を出す生徒のことを、「オーバーアチーバー(Overachiever)」と呼びます。
オーバーアチーバーの典型例は「努力家」でしょう。入試という目標に向けて、コツコツと努力を積み重ねる勤勉さが身に付いているわけです。あるいは、「負けず嫌い」や「完璧主義」といった姿が垣間見えることがあります。オーバーアチーバーは、まじめで周囲の信頼を勝ち取る人が多い一方、がんばりすぎて燃え尽きてしまう(バーンアウト)ことへの配慮も必要になることがあります。

いかがでしたでしょうか。「学歴」というものが、その学校に所属する集団の能力レベルを緩やかに反映することは否定できませんが、個人単位でみると、その在り方は多様であることがわかったかと思います。新卒採用などの場面に今回のデータを当てはめてみるなら、出身校のランク(学歴)もひとつの手掛かりにはなるものの、そのなかにはアンダーアチーバーやオーバーアチーバーの生徒が一定数含まれているということです。ここに検査を実施する意味があるのです。さらに言えば、そのような結果を生んだ背景(メカニズム)に注意を向けてみることもまた、その人材を知る上での手掛かりになる可能性があります。ぜひ、人事担当者の方には、学歴のみでなく、一人一人のポテンシャルやここに至ったプロセス(努力のプロセス)にも目を向けていただければと思います。

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