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キャリア(採用・適正検査)

2025/08/19

適性検査で職種レベルの職業適性は測れるか?

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適性検査で職種レベルの職業適性は測れるか?

目次

1. 適性を決める多様な要素の存在
2. “直接測れない”職業適性
3. そもそも「適している」とは何なのか
4. 適性検査で職業適性を測るコツ

「適性検査で特定の職種の適性は測れますか?(例:営業に向いているか分かりますか?)」-これは、検査の導入を検討するお客さまからいただく質問の一つです。応募者の適性を知り、「採用時の判断材料」としたり、「より適切な配置」に活かしたりしたいという担当者の思いが伝わってきます。当然にも思える問いですが、あらためて深く考えてみると、そう簡単には返答できないところがあります。なぜ簡単には返答できないのか?いくつかの理由について、皆さんに共有してみたいと思います。

1.適性を決める多様な要素の存在

企画職、研究職、営業職、・・・世の中にはたくさんの職種がありますね。皆さんはご自身の仕事を振り返った時、今の仕事に「適性がある」と感じますか?またどのような理由で「適性がある」「適性がない」と考えますか。
アメリカの心理学者ドナルド・E・スーパーは、「職業適合性理論」において、人が保有する職業適性が「能力(知能などの適性・技量)」と「パーソナリティ(適応・価値観・興味・態度)」から構成されると述べています。これに基づくと、適性というのは、単に能力の有無だけでは捉えきれません。どれほど高い能力を備えていても、それだけでは「向き」「不向き」を語るには不十分ということになります。たとえば、手先の器用さを必要とする職種において、作業精度やスピードに優れているとしても、本人がその業務に対して興味や関心を抱かない場合、それは“能力がある”とは言えても、“適性がある”とは言い切れません。また、人の興味や関心というのは固定的なものでもありません。最初はまったく興味のなかった仕事であっても、続けていくうちに価値観が変化して、その仕事が天職となっていた、ということもあるかもしれません。適性検査で容易に職業適性が測れないと感じる一つ目の理由は、以上見てきたような適性にかかわる要素の多さと、それが変化しうるということにあります。

2.“直接測れない”職業適性

一点目とも関係するのですが、職業適性がダイレクトに測れるものではないという点も職業適性の評価を難しくします。個人の能力やパーソナリティといった情報は、比較的測りやすいデータ(一次情報)です。一方で、「●●職(例:研究職)に向いているか?」を判断するには、実際にその職に就いている人たちのデータが必要です。しかも、「向いている人」「向いていない人」それぞれの特徴を大量に集めて分析しないと、職業適性の傾向は見えてきません。職業適性は“直接測れない”項目であるがゆえに、多くの種類がある個別の職種に踏み込んでまでの予測までは、なかなか難しいという側面があるのです。

3.そもそも「適している」とは何なのか

三つ目の理由として、「適性がある」「適性がない」という言葉の解釈が、人事担当者によって異なることが挙げられます。これについては、小塩真司先生の書籍『性格診断ブームを問う』の問いかけが参考になります。書籍から、その一部を抜粋します。

-『そもそも「向いている」とは何なのでしょうか。研究を行うためには、まず「「向いている」とは何か」を定義しなければいけません。たとえば、ある職業に就いてしばらくしたときの「収入の多さ」を「向いている」ことの指標だとみなすことができるかもしれません。(中略)もちろん「昇進スピードの速さ」とか「職業満足度」とか「ウェルビーイング」だとか、他にも「向いている」ことの結果となりそうな指標を考えることは可能です。』-

上のような定義以外にも、たとえば“目標数値の達成に貢献した人”、“2,3年で離職しなかった人”も「向いている」と言えるかもしれません。もし“目標数値の達成に貢献できる人”を探すのでれば、目的意識や責任感、主体性が重要そうですし、“離職しない人”を探すのであれば、会社の理念に共感してくれる人や、安定した生活を志向するような人材がイメージされます。このように、人事の方が「向いている」とか「適性がある」と表現した時、そのイメージには幅があるのです。そのため、「あなたの会社の営業として‟向いている“のはこのような人材だ」と判断をくだすことが難しいのです。以上が、職業適性を適性検査で一律に評価できない、と考える三つ目の理由です。

4.適性検査で職業適性を測るコツ

ここまで、(適性検査で)個別の職種レベルにおける適性を測ることの難しさをお伝えしてきました。これらを理解した上で、それでも、もう少し自社の職種に引きつけて適性検査を活用する方法はないものでしょうか。一つご提案したいのは、以下のような使い方です。
今皆さんが、応募者Aについて、自社の営業職への適性を判断したいとします。この場合、まずは皆さんが考える「向いている」とは何なのか。そしてその人材が備えるべき、主だった特徴を、「能力(知能などの適性・技量)」と「パーソナリティ(適応・価値観・興味・態度)」から2,3挙げてみます。
今回は、皆さんが考える「向いている」が、“目標達成に貢献できる人”だと仮定します。 そんな目標達成に貢献できる “営業担当者”を採用するとして、次に行うのは、適性要件の抽出です。営業とは言っても、「新規開拓営業」なのか「(既存顧客のフォローを中心とする)ルートセールス」なのかで、求められる要件は変わりますね。例えば、「新規開拓営業」であれば、失敗をおそれず挑戦できるような行動力が求められるかもしれません。一方「ルートセールス」は、社内調整力や誠実な人柄が優先されるかもしれません。
手間がかかる作業ですが、こんな風に自社の考える「営業職に適した人物」像を定義し、それを軸に適性検査の結果を読み解くことで、より自社にフィットする人材と出会える可能性が高まるでしょう。そしてこのひと手間をかければ、一般化された判定結果に過度に依存せず、人手不足の中でも、自社のイメージに合う人材を採用しやすくなるのではないでしょうか。

さて、今回は適性検査で職業適性を測る難しさと、それを踏まえながらも検査を活用するための方法についてお話ししました。この記事が、適性検査とうまく付き合っていただくヒントになれば幸いです。

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参考文献

1.小塩真司(2025)性格診断ブームを問う 岩波書店
2.鈴木朋子、サトウタツヤ編(2022)心理検査マッピング 新曜社

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