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キャリア(採用・適正検査)

2025/02/10

検査メーカーが語る 採用試験の選び方・実施の仕方

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検査メーカーが語る 採用試験の選び方・実施の仕方

目次

1. 採用試験を選ぶ前に明確にすること
2. 採用試験を選ぶ時のポイント
3. いよいよ採用試験を実施する

生成AIの利用を含め就職活動は多様化していますが、企業の選考方法は今も、書類選考、面接試験(個人・グループ)、そして適性検査・筆記試験の組み合わせが主流です。就職みらい研究所の『就職白書2024』によると、新卒採用に適性検査・筆記試験を活用する企業は87.5%。この傾向は、中途採用も同様で、やはり9割前後の企業が、何らかの適性検査・筆記試験を実施しているようです。
採用試験には欠かせない適性検査について、今回はメーカーの立場から、企業の人事担当者が適性検査を選び、実施する際のポイントをまとめてみたいと思います。

1. 採用試験を選ぶ前に明確にすること

  • 適性検査の利用目的は何か。
  • どのような特性を測定したいのか。
  • かけられる予算はいくらか。

自社にあった適性検査を探す前に、まずやるべきこと。それが「利用目的」の明確化です。採用シーンであれば、応募者の特性の見極めで利用されることが一般的です。一方、近年は応募者に結果をフィードバックすることを前提とし、インターンシップ期間や会社説明会、内定者向けの研修等で利用されるケースも出てきています。後者は、売り手市場が続く中、自社に魅力を感じてもらうための一つの手法となっています。
目的が明確になった後は、応募者の「何を測定したいのか」を確認しましょう。適性検査は一般的に、能力検査と性格検査の2つに大別されます。当然、一つの検査で測れることには、限界があります。そのため、自社ではどのような能力や特性が測れるとよいのかを明確にしましょう。多くの項目が測れる検査は魅力的にうつることがありますが、特に面接官が、その情報の多さに翻弄されるケースも目にします。結果を有効に活用いただくため、優先したい測定項目、見極めたいポイントが明確になっていることは重要です。
検査を選ぶ前に、かけられる予算についても想定しておくこともおすすめします。検査費用にはかなり幅があり、1名あたり数百円の検査もあれば、7,000円程度の検査もあります。また検査によっては、導入費用がかかるものもありますので、年間何名程度の受検が見込まれるのかを把握しておけると、この後の情報収集に役立ちます。
一般的には、コストをかけて設計された“信頼できる適性検査(標準化された検査)”は、利用時のコストがそれなりに発生するものです。かかる予算は、採用の“どの段階”で適性検査を利用するかとも関係しますので、予算にあわせて実施のタイミングを検討することも一案です。たとえば、一次選考で応募者を効率的に絞り込むために利用することもできますし、最終段階で内定候補者の決定に利用することも可能なのが適性検査です。

2. 採用試験を選ぶ時のポイント

  • 確かな検査か(信頼性・妥当性)
  • 受検者層の属性が合致しているか(Ex.年齢、職種、使用言語など)
  • 実施方法、所要時間はニーズに合っているか

まずは検査を選ぶ時の大前提から。ネットや雑誌には、あくまでも楽しむことが目的の性格テストが多く載っています。一方、いうまでもなく、企業が採用選考や評価、指導、能力開発等に用いる場合、その検査の品質は大変重要です。たとえば、選ぼうとする適性検査に「実施担当者向けの実施マニュアルは準備されているか」や、「時代にあわせて判定基準がアップデートされているか」といったポイントは、その検査の確からしさを見抜く一つの指標になるでしょう。とはいえ実際のところ、多種多様な適性検査の品質の良し悪しを見抜くことは難しいことだと考えます。そのため、現実には「利用実績」や「知り合いの方・採用コンサルタントによる紹介」を受けて、検査の質を確認されるケースが多いように思います。
さて、適性検査というのは、受検者層を想定して測定内容や判定基準が設計されています。まずは、自社の想定する受検者層(年齢層、職種、受検者の使用言語など)に合致した検査をいくつか選択しましょう。その上で、「測定内容」「実施方法」「所要時間」「費用」などの条件を確認していきます。同じ名称の採用試験であっても、受検者層ごとに異なる検査が用意されていたり、実施方法、価格に選択肢があったりすることは多いものです。人事向け情報サイトには、分かりやすい適性検査一覧表が掲載されていますが、どうしても情報が部分的になりがちです。一つの情報をうのみにせず、販売元に資料を請求したり、商品説明会に参加したりすることをお勧めします。トライアル受検を提供する企業もありますので、上手に活用いただければと思います。

3. いよいよ採用試験を実施する

  • 検査実施について説明し、受検者の同意を得る
  • 実施マニュアルに沿って実施する
  • 独自の解釈で判定しない

最後に、適性検査を実施する際の留意点についてお伝えしたいと思います。
まずは検査実施前の受検者への説明についてです。みなさまもご経験があるかもしれませんが、検査をされる側というのは、受検に対して少なからず防衛的となるものです。受検者が極端に防衛的になると結果がゆがむ可能性があり、実施者側は得たかった情報を得ることができなくなってしまいます。これを防ぐためにも、実施者は検査を行うことと、その目的について事前に可能な範囲で明示し、受検の同意を求めることが大切です。なお採用試験においては求人票で検査の実施をアナウンスすることが多いかと思いますが、攻略や事前のバイアスを避ける意味で、検査名称までもを明示する必要はないと考えられます。
続けて検査実施です。監督者は実施マニュアルに沿って、定められた通りに検査を実施します。受検者が集中できる環境を準備することも監督者の役割です。
最後に実施後の結果の解釈についてです。適性検査の中には、マニュアルに沿えば誰でも判定できる検査もあれば、一定の判定スキルがないと正しく解釈できない検査も存在します。採用試験として利用する場合は、受検者の人生を左右することもあるものと認識し、正しいやり方で判定結果を取得しましょう。(当り前だと思われるかもしれませんが、独自の解釈で判定する担当者と出会ったことは、1度や2度ではありません。)
得られた検査結果は、あくまでも受検者の一側面を測るものであり、100%能力や性格を言い当てるようなパーフェクトな道具ではありません。しかし時間の限られた採用選考において、主観に踊らされず、「その人らしさ」を知るには、有益な手掛かりとなるものです。有効に活用し、ぜひみなさんの選考プロセスの質を高める一助としていただければと思います。

今回はメーカーの立場から、企業の人事担当者が適性検査を選び、さらに検査を実施する際のポイントをまとめてみました。適性検査の有効活用には、わたしたち開発者が良質な検査を提供し続ける努力と、ユーザーの検査に対する正しい理解が欠かせません。私たち日本・精神技術研究所は80年近く続く検査のメーカーとして、社会や受検者に対して可能な限りの情報公開を行いながらメーカーとしての説明責任を果たしていきたいと思います。

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参考文献

1. 日本テスト学会(2007) 『テスト・スタンダード』
2. 就職みらい研究所「就職白書2024」

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