わが社の創業者である内田勇三郎は、内田クレペリン検査を創案し、育て、普及させたのですが、彼の底流には一種のヒューマニズムがありました。彼はこの検査が、「万人その処を得てよろこびにみちた精神生活を送るために。青い子には青い光を、白い子には白い光を。」(出典不明)という精神において使われて欲しいという、いささか理想主義的な願いを持っていました。もちろん、現実においては、そういった理想主義的な願いがすべて実現されたわけではありませんが、わが社の仕事の底流には、創業者のそういった考えがDNAとして受け継がれていると思っています。21世紀は、希望の世紀として期待されて幕開けしたと思います。しかし、ここ数年の間に日本や世界で起こっていることは、その期待を裏切ることばかりのような気がします。
われわれは、そういう時代と社会の中で、一人ひとりの人間が持っている「心の個別性」を大事にすることを理念として掲げ続けたいと考えています。70年あまりの歴史を持っている当社の内田クレペリン検査は、人間の基底にある「心の個別性」を把握する上で、きわめて意味のある情報を提供してくれる心理検査です。おそらくこのように長く使われ続けている心理検査は、世界的にも稀有と言っていいと思います。これは、この検査の持っている普遍性を明らかにするものと言えるでしょう。われわれは、この検査を今後も実用面・研究面において、より充実させていく所存です。また、われわれが25年以上にわたって展開してきている心理臨床関連の事業は、一人ひとりの「心の個別性」がより豊かに成長して欲しいとの願いによって続けられてきました。われわれは、今日ますますその社会的ニーズが高まっているとの認識に立って、この方面においても多様な事業展開をしていきたいと考えています。
「われわれは、一人ひとりの人間が持っている心理的個別性を把握する手法を提供し、さらに、それぞれの個別性に合わせた、質の高い心理サービスを提供する」(当社の基本理念)ことを、社会に向けて着実に実践していく所存です。