サイコダイバーズ4
さて我々サイコダイバーズも3/11に第4回目の練習を行いました。これが我々の本拠地、東京辰巳国際水泳場のダイビングプールです

水面と同じ高さのプールサイドから小さくジャンプして足から着水するという、できて当たり前と思えるような単純極まりないことから始めた我々でした。しかし4回目ともなると、水上1メートルのスプリングボードから反動をつけてジャンプし、その頂点で抱え込むように下方に向きを変え、華麗に指先から着水してスプラッシュ(してはいけないんですが)、というところまでたどり着きました。
さすがは国体2位のミキオコーチのご指導のおかげです。
ところがムツ、新人2号の二人はわりとスムーズに我がモノにして、ちゃぽん!なんて感じできれいに着水しているのに較べ、どうも僕にはそれがなかなかうまくこなせません。何とかしようとすればするほど訳がわからなくなり、挙句の果てに、まともに顔面から着水しまくって「どうしたんすかあ~♪」なんて爆笑されながら、衝撃で頭はボーっとするわ恥ずかしいわで、まるで自信をなくしてしまいました。ただ、何度か痛い思いをするうちに何とか頭から行けるようになって、やれやれ、と一息ついた頃、ミキオコーチが気楽なカンジで言ったわけです。
「さて、みなさん今日はなかなかうまくできたんで、あがる前に上から行ってみましょうかあ~」
実はサイコダイバーズ第2回目で、全員冒頭の写真の右端にあるスプリングボード(3メートル)の上から飛んでいます。しかも足からだけではなく、逆さまに頭から着水する方もこなしていたので、まあもう経験済みだしな、という気楽さもあって、我々3人、すたすたと階段を昇りました。写真の一番奥のところです。
ところが2ケ月ぶりに昇る3メートルはそこそこ高くて、飛び込み台の先端から下を覗いてみたら、尾てい骨のあたりにイヤ~なこそばゆさが走ったりしたわけです。
んで、誰から?と振り返ると、そこはもう部長からどうぞどうぞ(一番年上というだけでそう呼ばれているだけの部長なんですが)とダチョウ倶楽部状態。しかし男3人でここまで来て、譲り合い尻込みし合うヘタレな有様をいつまでもさらすわけには行きません。何しろここはスイマーの聖地です。下で見ている皆さんの中にはそれこそ国体級どころかオリンピック級の方もいらっしゃるかも知れんわけですよ。そんなところに抜け抜けと踏み込んでしまった以上、まして7.5メートルまで飛んでよし、というダイビングプール個人利用カードまで手に入れてしまった今、もはや言い訳はできんのですよ。
ということで飛びました。頭からではなく、今回は心も体も準備ができていないので、棒のように足から着水するだけです。若干幽体離脱感がありますが、まずは難なく成功。どこも痛くない。
引きつっていた頬も安堵に緩んで、やれやれとコーチの傍らにはいずりあがると、彼が言いました。
「んじゃあ、もうすぐ休憩なんで、続いて5メートル行っちゃいましょうかあ」
え?5メートル?
知らない世界です。しかし3メートルが何事もなく楽勝だったので、「あ・・あ、んじゃまあ」というような返事を返して、階段を昇りました。
3+2=5。2メートルは手を伸ばせが届く高さです。写真でも3メートルとその隣の5メートルはご覧のとおり大した違いはなさそうに見えます。
しかしです、初めて昇ったそこからの眺めは、さっきの高さから手を伸ばせば届くところであるにもかかわらず、ミもフタもない全く別の様相を見せていました。しかも振り返ると、あれ、俺の後ろに誰もいない。あれ、ミキオコーチの隣でムツと2号がこっちを見てる。なんであいつらあそこにいるんだ。
「だいじょうぶですよお~」
と、ことさらのんびりした調子でコーチが呼んでいます。
ああ、今こうして書いていてもいやーな緊張が甦ってきます。
別に高いところが苦手というわけではありません。自宅はマンションの6階です。去年うちのネコが空き室になっていた隣の部屋のベランダに入り込んで呼んでも戻って来ようとしない、という出来事がありました。その時は、しょうがねえなということで、ベランダの手すりをよっこらしょとまたいで、ネコを捕まえてまた同じルートで戻って来たんですが、別に怖くはありませんでした。
しかし、これは、いや、ぜんぜん大丈夫じゃないです。端的に言うと、3メートルは怪我するかもしれない高さでしたが、こっちは命が危うい高さです。何だか水面がさっきよりずーっと遠くて液体ではない硬いものに見えます。これ、飛ばなくていい高さだよねっていうか飛んじゃいけない高さだぜ!!あいつあんなこと言ってるけど、あれ違うぜ!嘘だぜっっ!!と脳味噌の古い皮質が警告を発しています。
遥か下の方で監視台に座った監視員が休憩開始を告げる笛をくわえてこっちを見ているような気がしました。俺がここで躊躇してなかなか飛べなかったらどうなるんだろう。でも、この高さはよ・・・。
「はい、だいじょうぶですよー、じゃあまっすぐいきましょー」
とコーチがまた間延びした調子で呼びかけます。
もはや、名誉ある死と恥にまみれた生のどちらを選ぶつもりですか~、と言われているようなものです。そんなもん、生きてりゃいつか良いこともあるってもんだろ。後者に決まってんだろ。
でも飛びましたよ。飛ぶ以外にどんな選択肢があったって言うんですか。その時自分を飛び込み台の先端から踏み出させたのは、決して勇気とか侠気とかではありません。そこにあったのは、自己決定というよりむしろ思考停止です。
「あ」
踏み出した瞬間、重心がが少し後ろに残ったのがわかりました。やはりたじろいでいたのでしょう。足は前に出ても、体が出遅れた訳です。
「あ~~」
ミキオコーチの半笑いを含みながらも懸念を滲ませた声が聞こえました。
落下は一瞬でした。やや後傾したものの、3メートルよりいくらか強い衝撃を足の裏に感じたくらいで、それ以外はどうということもない着水でした。ただ、じゃあ続けてもう1回飛べたかというと、自信がありません。ためらう余裕がある状況だと、どうなることやら。
現在ミキオコーチが負傷療養中なので、来月までサイコダイバーズは休部中です。次回は部長の強権発動により、ムツ、2号にも5メートルから飛んでもらいます。僕ですか?もちろん彼らが飛ぶのを下から見守りますよ。
「だあいじょお~ぶだよお~」
と優しく声をかけて励ましながら。
ところで、このブログを書くために飛び込み台の画像を探していたところ、とんでもないものを見つけてしまいました。頭がおかしい人たちに違いありません。
http://div0303.blog115.fc2.com/blog-entry-260.html
早速ミキオコーチに、「まさかおれたちにこんなことやれなんて言わないよね!」とメールを送ったところ、衝撃のレスがありました。
「あの中にボクもいま~す」
ムツ君、2号君、どうやら我々はおそろしい人にコーチをお願いしてしまったのかもしれないよ。
新人2号 2009年04月17日 14:00:
sawadaさん、5メートルを飛んだ今、残る階段は2つですよ。
Yes,You Can!!!!!!!!!!!
でもでも私は
No, I Can't!!!!!!!!!!!
おいしいところは全て部長に差し上げます。
sawada 2009年04月17日 15:03:
2号くん
あのね、10メートルは素人が飛んじゃいけない高さなので、おれたちの限界は残念ながら7.5メートルなのよ。
それから、あのプールで己の限界を判断するのは、もはや自分じゃないんだよ。我々は既にそういう契約を結んでしまったのだよ。ミキオコーチに全てを委ねなさい。もう後戻りはできない、ということを忘れんようにな~。
mutsu 2009年04月17日 15:24:
3メートルから飛び込んだときでさえ、腰の骨が折れそうになったのに、5メートルなんて自殺行為ですよ!
たぶん失禁してしまうので、プールサイドで応援するだけにしておきまーす!
sawada 2009年04月17日 16:12:
とうちゃん、情けなくって涙が出るぜ!
momoto 2009年04月18日 15:10:
辰巳のプールっていうよりも、「克己」のプールって感じですよね。
己に克つ!
ゴッドハンド 2009年04月24日 14:23:
とてつもない臨場感ですね。
もはやどんなバンジージャンプもへっちゃらそう。
お飛びになれるだけでもすごいですね。
空飛んでる気分ですか???
でもあたくしは、ニャンコ救出劇に興味津々でございました。
さすが一家の大黒柱。頼もしいトーチャンですことお。
sawada 2009年04月24日 16:21:
momotoくん
やめて!せっかく年相応にゆるーいカンジで行こうと思ってたのに、年甲斐もなく無茶しちゃいそうよ。
若いもんたちは。賢明にもついて来ないし。
ゴッドハンドさま
空飛んでる気分?
そりゃもう、あんなこと書きましたが、本当は一度やったらヤミツキですよ。えくすたしい~ですよ。やめられませんよ。
ものは試しなので、体験入部でもいかがですか?
だあ~いじょうぶですよお~~~。
sawada 2010年05月20日 12:51:
この日記を書いてから1年余りがたち、新事実発覚です。
皆が飛んだのは3メートルではなく5メートルで、自分が飛んだのは5メートルではなく7.5メートルでした。
そうだったのかー。道理で道理で。



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