「スリーピング・ドール」ジェフリー・ディーヴァー

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「読んだら・・・」書く!つもりが、早くも三ヶ月以上も放置してしまったこのカテゴリー。今さらではございますが、昨年読んだ本を一冊ご紹介したいと思います。ジェフリー・ディーヴァーというアメリカのベストセラー作家による「スリーピング・ドール」というミステリー作品です。

ジェフリー・ディーヴァーといえば、リンカーン・ライムという四肢麻痺の元科学捜査官が登場するシリーズで有名。何年か前に「ボーンコレクター」という作品がデンゼル・ワシントンの主演で映画化されているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれせん。この「スリーピング・ドール」も、<ライム・シリーズ>からのスピンオフ作品で、こちらは「尋問の達人」キャサリン・ダンスが主人公です。

ディーヴァーの作品は、よく「ジェットコースター」に喩えられるようにハラハラドキドキの連続。どの作品も単行本で上下段500ページは下らないというボリュームにも係らず、二日か三日で読み終わってしまうほどのリーダビリティの高さが売りです。「スリーピング・ドール」も、これまでの作品に劣らず、一度読み始めると止められない面白さなのですが、この作品のもう一つの、そして最大の魅力は主人公ダンスの使う「キネシクス」という尋問技術でしょう。

せっかくなので、ここで「キネシクス」の描写を本文から少し引用させていただきます。


(被尋問者が、尋問者=キャサリン・ダンスからの)質問を耳にした瞬間の表情の変化、質問に答えるときの態度。肝心なのは、答えの内容ではない。予習は万全だ。質問に対する正解はどれも、聞くまでもなく知っている。ダンスがいま試みているのは、“ベースライン・リーディング”だ。

相手が嘘をついているかどうかを見きわめようとするときに注目すべき要素は三つある。非言語行動(ボディランゲージ、またはキネシクス)、言語の様態(声の高さや話す速度の変化、答える前にためらうといった反応)、言語の内容(発言の中身)。先の二つは、嘘やごまかしの判断指標として、最後の一つよりははるかに信頼度が高い。“何を言うか”は思いどおりに変えることができる。しかし、“どう言うか”をコントロールするのは困難だ。また、その際にボディランゲージとして表れる反応も、意識的にコントロールするのは難しい。

ペースラインとは、いわば被尋問者が真実を話しているときに示すボディランゲージの一覧表だ。ベースラインが把握できていれば、尋問を続けていくなかで被尋問者が嘘をつく可能性のある質問をぶつけたとき、その際に表れたボディランゲージをこのカタログと照らし合わせることができる。二つが一致しなければ、真実を話していない可能性が高い。


ここを読むと、「キネシクス」の極意はコミュニケーションの「言語的要素」と「非言語的要素」のギャップ分析にあるということがわかります。これを聞いて、日精研でアサーション・トレーニングの講座を受講したり、書籍を読んだことのある方のなかにはピンときた方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうです。アサーション・トレーニングでも、まさにコミュニケーションの「言語的要素」と「非言語的要素」について取り扱っているのです。

アサーション・トレーニングでは、相手に自分の気持ちを素直に伝えるためには、「言語的要素」と「非言語的要素」を一致させることが重要です、とレクチャーしていますが、「キネシクス」はその不一致を利用して相手の嘘を見抜くというわけですね。なんだか、ポジとネガみたいな関係で面白いです。


そんなわけで『スリーピング・ドール』、アサーション・トレーニング体験者でミステリー好きの方には打ってつけの作品になっていますので、ぜひ手にとってみてください!

日時: 2009年02月05日 00:00   カテゴリ: 読んだら・・・   投稿者: momoto
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