映画「ノーカントリー」

4月を迎え、わが日精研にも三人の新入社員が入社しました。それぞれのご紹介はいずれこのサイコログでしていきたいと思いますが、そのうちの二人が「映画好き」ということで、会社内に「映画クラブ」を立ち上げることにしました。まぁ、立ち上げるといっても、別に会社から補助金が出るわけでもなんでもなく、ただ一緒に映画を観にいくだけなんですが。自腹で。
さっそく金曜日の会社帰りに、第一回目の鑑賞会を開催。本年度アカデミー賞の4部門で受賞した話題作、コーマック・マッカーシー原作×コーエン兄弟の「ノーカントリー」を観てきました。これが第一回目に相応しいなかなかの名作だったので、私の拙い文章で恐縮ですが、感想文をあげさせていただきたいと思います。
(少々ネタバレ的な部分がありますので、これから観ようと思っている方は、ぜひ観終わってから読んでくださいね)
ひょんなことから麻薬取引に係る200万ドルもの大金を掠めとった男、その男を追う殺し屋、その殺し屋を追う老保安官。この三人の道が徐々に交差し、いずれ運命の対決へ至ることを予感させる物語の前半部分。それに対して、一転、物語のエントロピーが拡散に転じていく後半部分。運命的なクライマックスをほのめかしておきながら、その期待をあくまでスカしていくシニカルな展開が、なんともコーエン兄弟らしくて良かったですね。
けっきょくのところ、この映画って登場人物の誰一人として、その目的を成就できない物語といえそうなんですが、よく考えてみると、この公式は登場人物だけにとどまらず、私たち観客自身にも適用できるんじゃないかって気がしました。
映画のエンディングで、老保安官の独り言に耳を傾けていた観客たちに訪れる「突然死」。このエンディングに対して観客が感じる「???」は、映画の登場人物たちが劇中に迎えた「突然死」の瞬間に感じたであろう「???」とシンクロしているように思えます。彼らの迎える最後が、人生において何ら劇的なクライマックスでもなんでもなく、日常のなかのアクシデントであったように、観客も物語を理解するという目的を成就しないまま、突然、不条理な「死」を迎えるという。。。なんだか人生そのものを考えさせられるような、アンチ・ドラマチックなエンディングが印象的でした。
そして、何よりもこの映画で凄かったのは殺し屋役のハビエル・バルデス!もはや善悪なんてものを超越して「死」そのものを体現したような圧倒的な存在感は観ていてチビリそうでした・・・
さて。次回の映画クラブはまだ決まっていませんが、次回は新入社員のどちらかがレポートしてくれると思いますので、皆さん、乞うご期待です!



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