あなたの知らない(かもしれない)世界・第1回:『解剖実習』

どうも皆様こん○○は。日精研の新人1号です。

実は私、先週は丸々1週間ほど夏休みをいただいておりまして、今日がそのバカンス(?)の最終日なのです。今回は土日を含めて9日間の休暇だったのですが、いやー、過ぎてしまえばあっという間ですね。今思うと休暇の日が来るのを指折り数えていた時が一番楽しかったかも…、などと今は結構微妙な心境で休暇最終日を過ごしております。

ところで皆様。昔、某テレビ局で夏休みの時期になるとお昼の時間帯に『あなたの知らない世界』というタイトルで、心霊現象などの、いわゆる怪談モノを放送していたのをご存知でしょうか?なぜ夏になると怪談モノが流行るのかはよく分かりませんが、私などは怖いもの見たさも手伝ってその時間になるとテレビにかじりついて見ていたものです(…歳がバレる…)。

で、今回のブログはそれに因んで(?)、『あなたの知らない(かもしれない)世界』と題しまして、私がこれまでに遭遇した中で、ちょっと珍しいと思われる体験(別にコワい話ではないです)について書いてみようと思います。(←今回は日精研の日常業務とは全く関係がありませんので念の為)

第一弾のタイトルは『解剖実習』。

私が昨年まで所属していた大学院は、生命活動をDNAなどの分子レベルから人間の心理的活動といった高次のレベルまで包括的に扱う、文理横断・学際型の学部でした。私などはその内の心理学的な分野を専攻していたのですが、今書いたような学部の性質上、本来医学部・理学部など他の学部でしか履修できないような科目も場合によっては履修できたのです。今回の、『解剖実習』などは、『身体の物理的な構造を実習を通じて知る』ということで私のような者でも履修できた次第です(詳しくは、死体解剖保存法という法律があり、教育・研究的な目的で教授・准教授の指示下で行う場合に限り、解剖実習が許されるとのことです)。

実習はまず、献体していただいたご遺体を前にしての黙祷から始まります。このご遺体の背後には深い悲しみに包まれた遺族の方々がいらっしゃる、ということをしっかりと心に留め、改めて厳粛な気持でご遺体に臨むためです。黙祷が終わると指導役の教授からひとしきりメスなどの器具の扱い方についての指南があり、その後実習に入ります。

実習に入って最初に行わなくてはならないことは、筋肉の付き方を確認するためにご遺体の全身の表皮をメスで丁寧に剥離することです。これが慣れていないと結構難しい。本当に丁寧にメスを使わないと途端に表皮の下の筋肉に傷を付けてしまうのです。おまけにメスっていうのは刃の部分に脂肪が付くと切れ味が悪くなるので、作業の途中で何度もメスを新品に交換しなければいけません。私達の場合、一人のご遺体につき8人のグループを組んでいたのですが、この作業だけでほぼ半日過ぎてしまいました。

その後、全身の筋肉の付き方→その下を走る血管の様子→各関節の構造などを微に入り細に入り観察していきます。私は書物などからの知識で人体の構造について事前にある程度知っていたつもりだったのですが、実物を見ると、どの部分をとってみても実に合理的かつ繊細に形作られていて驚かされるばかりでした。

そうしてひとしきり腕・脚部の解剖が終了すると次に体幹部(胴体)の解剖に移ります。今度は胸部・腹部内にある臓器の配置を確認するとともにそれらをこれまた丁寧に切除していきます。各臓器の大きさ、重さ、(メスを入れての)内部の構造などを順次観察・確認していきます。これらの臓器が有機的に機能して初めて生命活動が維持されている、そしてそれは今自分の体内でも実際に起きていることなんだと思うと非常に不思議な気持がしました。

今回の私達のスケジュールには脳の構造を見るというところまでは含まれていなかったので、解剖実習はここまでで終了となりました。それでも初日の黙祷からは、もう既に3日が経過していました。ふと気が付くと、ご遺体の傍らには誰が供えたかはわかりませんが、いつの間にか一輪の花が供えられていました。私は、普段当たり前のように考えていた『生命』というものの重み、その大切さを改めて噛みしめつつ3日間通い詰めた解剖室を後にしたのでした…。

今回はここまで。また次回お会いしましょう。

※この『あなたの知らない(かもしれない)世界』、今後も不定期で書いていく予定です。

日時: 2007年08月19日 14:18   カテゴリ: 新入社員日記   投稿者: 新人1号改め電車でG☆